ジークの雑録日誌

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屍者の帝国 感想

「伊藤氏円城氏の両名は日本を代表するSF作家である。SFの題材は屍者である。屍者という題材を通して意識や、命のありかについて社会に問いただしているような内容である。プロローグ後はすべて円城氏が書いている。氏の過去作品のどれよりも分かりやすい文章になっている。 理系向けだと書かれたレビューもあったが全く的外れだと思う。作品における論理や構成に文理の差異は無い。違いをあるとすればそれは表現技法である。作品の内容も示唆に富むものであった。読んで損は無い1冊である。」
私がアマゾンに書いたレビューです。

付け加えて言うならSFの殻をまとった哲学書です。そして1つのエンターテイメント作品であると言えます。筆者の紹介は別記事で書くことにして感想を続けます。作品のテーマはズバリ「命の存在証明」だと思います。舞台は19世紀、技術革新や欧米列強が覇を競っている時代です。死体を科学技術によって「屍者」として使役することが可能となった架空の歴史を題材にしています。そこでは生きている人間=「生者」の代わりに屍者が労働力として活用されています。主人公はホームズの助手ジョン・ワトソンです。ホームズに出会う前の話になります。ワトソンが「ザ・ワン」という屍者を探しにいく話です。

ザ・ワンが命のありかについて自らの見解を述べるところがこの作品の肝であると思います。
屍者の帝国 (河出文庫)

それでは今日はこの辺で