ジークの雑録日誌

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伊藤計劃という作家について

 前回は屍者の帝国について感想を書いた。なぜ伊藤計劃(以下伊藤氏と表記)について今回触れているのかといえば私が彼の熱狂的なファンだからだ。伊藤氏の作品と出会ったのは書店の平積みコーナーだった。普段は歴史小説くらいしか読まないのにそのときは何故か伊藤氏の本を手に取っていた。「虐殺器官」の1行目を読んで手の震えが止まらなかった。恐怖によるものではなく武者震いだった。

「小説の1行目を読んで武者震いを起こすなんて普通じゃねえよ」と思うかもしれないがそのときの感覚は自分にとって確かなものだった。心躍る作品だと思った。

 今まで歴史小説を買って読むか、ラノベを借りて読むくらいしかなかった自分がSF小説を初めて買って読もうとしていた。書店では買わずe-honで購入した。本についていた帯で映画化の事実を知った。虐殺器官(小説)の感想は別記事で書くことにして話を続ける。

 伊藤氏の作品を読んで真っ先に感じたことは、小説を読んでいるという感覚ではなく映像作品を見ている感覚に陥るということだ。無論、シナリオの形ではなく小説の形で書いているため脚本を読んでいる感覚とは異なる。伊藤氏の場合は4K画質の映像を見ているのではないかと錯覚するほど場面描写に秀でているのだ。今まで多くの小説を読んできたが、4K画質の映像を見ているのではないかと錯覚するほど場面描写に優れた作品を伊藤氏以外に私は知らない。彼が最高の書き手であったことは揺るがぬ事実である。

今日はこの辺で

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)