伊藤計劃以後とは何なのか
近年ののSF界では、「伊藤計劃以後」という概念が独り歩きをしている。伊藤氏の没後に書かれたもので、作品のテーマと類似するもの(人間の意識や言葉)や社会批判を含んでいる作品を指すことが多い。氏のファンである私もこの概念にしばしば頭を悩ませている。
なぜかといえば、氏の扱うテーマは氏が登場する以前からSF作家の間では既に話題に上っている事柄だからである。それらは専ら、海外SFにおいて人気なため日本SF界では話題に上ることが少なかった。氏の作品の素晴らしさについては語らなくても分かっていただけると思う。
ある種のターニングポイントを表す概念であり、神格化の意図は無いのである。