ジークの雑録日誌

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MTPL論文(木村 優氏)第2稿を読んで

今回はMTPL論文(木村 優氏)第2稿の批評を行う。

 まず、論文の概要は「租税貨幣論と内生的貨幣供給論に着目して MMT の論旨を数理モデル化し,物価水準の変動のメカニズムを明示化したマクロ経済モデルを提案する」というものである。RBCモデルを基礎とする点は第1稿と変わらない。第1稿からの変更点は以下の通りである。

 ①貨幣論に関しての学説変遷史の追加、②定義式及び数理モデルの追加と厳密化の2項目である。前提条件として名目賃金の粘着性(NK学派的仮定)をとりいれたことで第1稿よりも現実的なモデルになっている。粘着性を導入したことでNK学派にも受け入れられやすくなったと考える。

 数理モデルは異論を挟む余地は無い。しかしながらシミュレーションのための仮定が単純化されすぎていて分析結果が若干恣意的になっていると言わざるを得ない。本稿のシミュレーションは政府による国債発行を考慮したインパルス応答になっていない。氏もこの点に言及している。次に改稿するのであればその点を考慮したシミュレーション結果が必要となるだろう。

 次回の論文も楽しみである。