ジークの雑録日誌

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天才ラノベ作家の本質とは ―2人の電撃作家を例に―

 

 今回はラノベ作家の天才タイプについて考察する。ラノベにおける天才とはなんだろうか。ずばり、自分の書きたいものを書き、なおかつ自らの作品を売れ筋にしてしまう作家のことである。

 売れ筋作品は経験を積めば大抵の作家が書けるものだと言われている。天才タイプはこの場合と大きく異なる。書きたいものを書いて売れ筋にできるのだからそれだけで凄い。電撃文庫で活躍する2人を例に挙げる。

 1人目は鎌池和馬、通称『かまちー』である。彼の凄さを示すためWikipediaより経歴を引用する。

 「第9回電撃ゲーム小説大賞に『シュレディンガーの街』を応募、第3次選考まで残るも落選。しかし、応募した作品そのものは担当編集者の三木一馬の目に留まり、後に三木から書いてみないか?と連絡を受けて執筆を始める。それから1年ほどの間武者修行として何本も試作執筆のやりとりと話し合いを続け、さらに6、7回の改稿を重ねて書き上げた作品『とある魔術の禁書目録』で2004年4月にデビュー。第1巻は当初、売れなかった時のリスクを考え単巻完結のつもりで書いたが、無名の新人としては快挙とされるほど相当売れたとのことで、その後のシリーズ化が決まった。」という経歴の持ち主である。

 この経歴で最も注目すべき点は『拾い上げデビューの無名作家が快挙とされるほど相当売れた』ということではない。当然ながら改稿の回数でもない。『売れなかった時のリスクを考え単巻完結のつもりで書いた』という事実である。鎌池氏の速筆ぶりは該当項目を参照してほしい。

 普通の新人作家なら拾い上げデビューだとしても有頂天になって関係者に迷惑をかけるのが常である。講談社ラノベ文庫新人賞で優秀賞を獲った作家が関係者に喧嘩を売り、干された事件が記憶に新しい。

 鎌池氏は謙虚さを忘れていないのである。

 続いて2人目の天才を紹介する。バッカーノ!デュラララ!!で有名な成田良悟である。彼はバッカーノ!第9回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞し電撃文庫において『群像劇』のジャンルを開拓した天才でありまた鎌池氏と同様に速筆家である。既存の設定に基づいて破綻せずに新しい話を書くことができる数少ない作家だ。

 鎌池、成田両氏ともにアニメ化などのメディアミックス戦略も成功させている。今後も私が期待を寄せる作家であることに間違いない。