ジークの雑録日誌

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超限戦 21世紀の「新しい戦争」の書評

超限戦 21世紀の「新しい戦争」とは1999年に中国で発表され、英訳、日本語訳もされた戦略研究書だ。

 現代の戦争は、軍事、非軍事の境界が曖昧になっており戦争の形は多岐にわたると説明している。具体的に言えば、金融戦やインターネット戦などを新たな戦場ないし兵器と捉え軍事力の行使や、これらを組み合わせた戦略・戦術が21世紀の戦争の形になるとと予測した。ハイブリッド戦の概念を具体化した本であるといえる。

 あらゆるものを戦場や兵器見立てて組み合わせるという行為は戦争の定義を広いものにする。現在の国際法戦時国際法ないし国際人道法)の定義では軍事力の行使を伴った侵略行為を戦争と定義しているので、米中貿易摩擦や米国によるファーウェイ外しなどは戦争とは言えない。しかし本書の定義に基づけば非軍事手段を組み合わせた戦争の1種であると考えられる。このことからもわかるように戦争の定義が広くなったことがわかる。

 本書は古典的名著からの引用も多く古今東西の戦略書を噛み砕いた良い本になっている。日本語訳は角川新書より復刻している。英訳版は無料で提供されているのでリンクを貼っておく。

https://www.c4i.org/unrestricted.pdf